さよならドビュッシー

 

 

この小説の魅力3つあります。

 

 

1つはは事故で大怪我を負ったピアニストを目指す16歳の少女が、岬洋介という新進気鋭のピアニストに師事し、事故の後遺症と戦いながら、ピアニストとしての道を歩む過程を描いた青春小説のようなドラマチックな展開。

 

 

2つ目は、事故によって6億の資産の相続した少女とその家族に次々と災難が襲うミステリーとしの展開と、最後にピアニストでありながら探偵役もこなせてしまう多彩で魅力的な岬洋介が語る事件の結末は、まさに「どんでん返し」であること。

 

 

3つめは小説に描かれている異常なほど長い音楽の演奏描写。

 

 

岬洋介の音楽は麻薬のように聞くものをとらえて離さない悪魔的な演奏であると小説内では表現されるのですが、彼が演奏するピアノを表現する文章を読むと実際にどんな音楽なのか興味をもたずにはいられない。

 

 

僕は小説を読みながら、作品にでてくる曲をYOUTUBEで再生しながら小説を読みました。

 

 

音楽をあまり聞かない人にとって、新しい文化との出会いのきっかけになるかもしれない点も魅力の1つといえるでしょう。

 

 

 

 

「さよならドビュッシー」の魅力を簡単に紹介しましたが、これからもう少しだけ「さよならドビュッシー」において僕が面白いなと思った点を紹介します。

 

 

僕は中山七里さんの小説は岬洋介シリーズ、御子柴礼司シリーズ、連続殺人鬼カエル男、切り裂きジャックの告白、などを読みましたが、これらの作品にはあるつながりがあるのでそれについて簡単に解説します。

 

 

「さよならドビュッシー」を読んで面白かったと感じた方も、少し合わなかったという方でも、「ドンデン返し」が嫌いでなければ他の中山七里さんの小説を読んでみることをおすすめします。

 

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さよならドビュッシー シリーズ 順番

 

さよならドビュッシーはシリーズ物で、全5作あります

 

 

出版された年月別にすると以下の順番になりますが、

  1. さよならドビュッシー(2010年1月 宝島社 / 2011年1月 宝島社文庫)
  2. おやすみラフマニノフ(2010年10月 宝島社 / 2011年9月 宝島社文庫)
  3. 要介護探偵の事件簿(2011年10月 宝島社) -【改題・加筆修正】さよならドビュッシー前奏曲 要介護探偵の事件簿(2012年5月 宝島社文庫)
  4. いつまでもショパン(2013年1月 宝島社 / 2014年1月 宝島社文庫)
  5. どこかでベートーヴェン(2016年5月 宝島社 / 2017年5月 宝島社文庫)

 

時系列はさよならドビュッシー前奏曲 要介護探偵の事件簿の後に「さよならドビュッシー」がきます。

 

 

前奏曲というタイトルからも分かる通り、要介護探偵の事件簿は「さよならドビュッシー」のスピンオフで、岬洋介がドビュッシーの主人公の女子高生の祖父香月玄太郎との出会いなどが描かれた作品です。

 

 

香月玄太郎&介護士・綴喜みち子が主役となる作品ですが「さよならドビュッシー」を読んでから「さよならドビュッシー前奏曲 要介護探偵の事件簿」を読むことを強くオススメします。

 

 

理由としては「さよならドビュッシー」の方が先に書かれているため、さよならドビュッシー前奏曲を前提としている小説ではないことと、個人的な感想として「さよならドビュッシー」のほうが圧倒的に面白いからです。

 

 

さよならドビュッシー 岬先生が弾く曲

 

さよならドビュッシーに登場する曲は

 

  1. ピアノ協奏曲第5番『皇帝』:ベートーヴェン
  2. ヴァイオリン協奏曲:メンデルスゾーン
  3. アイネ・クライネ・ナハトムジーク:モーツァルト
  4. リスト超絶技巧練習曲第4番『マゼッパ』
  5. ショパン「英雄ポロネーズ」
  6. リムスキー・コルサコフ「熊蜂の飛行」
  7. ショパン「12のエチュード 作品10」より第2番
  8. ショパン「12のエチュード 作品10」より第4番
  9. バッハ:「主よ、人の望みの喜びよ」
  10. ドビュッシー「月の光」
  11. ドビュッシー「アラベスク第1番」
  12. ドビュッシー「亜麻色の髪の乙女」

 

 

この中で、岬洋介先生が演奏したのが1〜4

 

  1. ピアノ協奏曲第5番『皇帝』:ベートーヴェン
  2. ヴァイオリン協奏曲:メンデルスゾーン
  3. アイネ・クライネ・ナハトムジーク:モーツァルト
  4. リスト超絶技巧練習曲第4番『マゼッパ』

 

 

特に1番のベートーヴェン「交響曲第5番変ホ長調 皇帝」は10ページにわたる演奏場面の描写があり重要な曲なので是非動画やCDなどで実際に音楽を聞いてみてください。

 

 

それから岬洋介は一曲もドビュッシーを弾いていませんね。

 

 

タイトルになぜ「さよなら」「ドビュッシー」となっているのかは、物語において重要な要素となります。

 

 

中山七里作品の面白さ

 

中山七里さんといえば「ドンデン返し」が代名詞ですが、僕は作品同士のつながりが面白なと感じています。

 

 

Wikiを引用すると

 

 

ほとんどの作品で出版社の枠を超えて話や世界観、登場人物がリンクしている

 

 

と書かれている通り、作品によって脇役だったあの人が主人公になっていたりします。

 

 

例えば、岬洋介シリーズの主人公岬洋介のピアニストとしての信念を産む1つのきっかけとして父親との確執がありますが、その父は御子柴礼司シリーズの第2作「追憶の夜想曲」において弁護士御子柴が対決する相手検事として登場します。

 

 

ページ数は多くないものの、岬検事が息子洋介への思が描かれてる場面があるんですが、岬洋介の父親への思いと、父である岬恭平の息子への思いそれぞれを知ることができるので、どちらのシリーズも読んでいる方にとってはニヤっとしてしまう描写なわけです。

 

 

1つの世界観、登場人物が共通しているので、それぞれの人物からみた別の人物の印象が描かれていることによって「犯人」「動機」「方法」以外の楽しみをもつことができます。

 

 

 

僕は岬洋介シリーズ、御子柴礼司シリーズ、連続殺人鬼カエル男、切り裂きジャックの告白を読みましたが、面白かったのは弁護士御子柴シリーズです。

 

 

御子柴が過去に起こした事件がどのように弁護士としての御子柴の行動原理につながるのか、、絶対的に不利な状況を切り抜ける緻密な法廷でのロジック、相手検事とのやり取りなど、岬洋介の青春小説とミステリーの融合も楽しいのですが、ミステリーとしての御子柴礼司シリーズのほうが僕には楽しめました。

 


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