チェーン・ポイズン 感想

 

 

 

全く苦しまずに飲むだけで楽に今の人生を終わらせることができる薬があったら。

 

 

あなたなら飲みますか?

 

 

 

「酔っ払っていたら飲むかもしれない。」

 

 

 

これは小説にでてくるイケメンで若くちゃんとした仕事に就いている登場人物の言葉です。

 

 

 

これが普通の感覚かもしれませんね。

 

 

 

ふとした瞬間になんとなく人生を終わらせてみたくなることがある。

 

 

この感覚は誰にでもあるものなのかもしれません。

 

 

さらに、あなたが金を稼ぐためだけに社会に出ていて、毎日嫌味を言われ嫌がらせをされ、過剰な悪意にさらされ、自分には何の価値もないのだと思い知らされるだけの毎日だったら。

 

 

 

正直、生きていくのが面倒くさい・・・、と思うかもしれません。

 

 

チェーン・ポイズン感想1

 

これは主人公の新聞記者原田が追う、自殺しようとしている30代のOLが抱いている人生への思いを一言で表した言葉「面倒くさい」です。

 

 

人生が面倒くさいから死にたいと思う人もいれば、夢も希望もなくなり、人生に絶望し、もう生きていることに意味を見いだせない人もいます。

 

 

そんな人がもし冒頭のような一瞬で人生を終わらせることができる薬を手にしたのなら。

 

 

人生に絶望している人に後1年生きてみませんか?1年生きたらご褒美にその薬をあげますと言われたら?

 

 

僕たちは期限を切ることで逆に生きるための希望や意義を見つけることができて、その人が生きるための一歩を歩き出せる、そんな風に考えがちですが、もしかしたら現実はこの小説に描かれているように、何も変わらないものなのかもしれません。

 

 

何も変わらず孤独な人生、これこそが人間にとって最大の苦痛であり「毒」なのかもしれません。

 

 

 

 

チェーン・ポイズン感想2

 

チェーン・ポイズンあらすじ

 

物語は都内で起きた3件の毒殺自殺を雑誌記者の原田が調査する物語。

 

 

小説は原田と自殺した自殺を考えているOLの視点で語られる。

 

 

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妻と子どもが惨殺され、犯人は死刑判決が下った事件で残された夫。

 

 

天才と言われたバイオリニストは突発性難聴にかかり、聴力を次第に失っていく。

 

 

この二人に記者として1年前インタビューした原田は、二人がインタビュー当時から人生に絶望しており、死の匂いを感じていた。

 

 

 

やがて彼らが自殺したことが報道されるが、原田は違和感を感じる。

 

 

 

その違和感とは毒殺という自殺方法と、人生に絶望していた人物がなぜインタビューから1年という年月を経て死を選んだのか?

 

 

 

そして同様に都内で毒殺自殺したOL高野。

 

 

 

この3人の自殺が偶然なのか必然なのか?原田は3つの事件に関連があると推測し、唯一絶望とは程遠い平凡な毎日を過ごしていたであろうOL高野の人生を追いかける。

 

 

 

その過程で原田は、自殺しようとしている人物に取引を持ちかける「セールスマン」のような人物が存在するのではないかという仮説をたてる。

 

 

 

 

高野以外の2人はメディアでも連日報道され、誰もが彼らが自分の人生に絶望していることを知っているが、平凡なOL高野に「セールスマン」はどうやって近づいたのか?

 

 

 

高野の近辺を洗う原田が見つけた意外な事実とは?

 

チェーン・ポイズン感想3

 

 

物語は人生を面倒くさいと感じる30代のOLが公園でもう死にたいと考えていた時「本気ですか?」と見知らぬ人物が声をかけてきます。

 

 

その人物は、1年自殺を思いとどまったら褒美として「一瞬で楽に死ねる薬」をくれるといいます。

 

 

 

30代のOLは1年後に楽に死ねるなら、1年間だけならダラダラとなんとなくでも生きていくことができると考えます。

 

 

 

長年の習慣でしかなかった仕事をやめ、どうとでもなれという気持ちも手伝って偶然発見した養護施設で数名の子どもたちの世話をするボランティアを始めます。

 

 

 

この小説の主題は1年という期間を与えられても殆どの人は人生が変わらないという絶望と、自分で人生を切り開くことができるヒトもいるという希望です。

 

 

 

後1年の人生であるという言い方が大げさなら、1年間何かを頑張ってみようと決意したとしましょう。

 

 

僕たちは映画の主人公のように好きなことをして人生を全うして最高の笑顔で「人生に悔いなし」と言いながら死ぬ姿だったり、1年後自分の全てを犠牲にして何かに打ち込んだ結果人生がとんでもなく好転する結末を想像します。

 

 

しかし、現実はタイムリミットが明確になっても驚くほど何も変わらない。

 

 

もしかしたら、タイムリミットさえ区切られなければ決して興味を持つこともなかったどうしようもなく”しょーもない”ことをして過ごしてしまうことすらあるかもしれません。

 

 

僕達人間は基本的に社会とつながっていないと生きていけません。

 

 

つまり僕たちは孤独に耐えられない。

 

 

家族が最も身近な社会ですが、家族との繋がりが必ずも存在しているとは限らないように、社会との繋がり方は人それぞれです。

 

 

その社会との繋がりをある日、他人の悪意によって強引に壊される人もいれば、自分から繋がりを壊す人もいる。

 

 

自分で社会との繋がりを壊し孤独になった人間は絶望します。

 

 

絶望した人間が感じた狂気とも思える希望は、他の人を助けることでした。

 

 

しかし、その他の人を助けたいという狂気は、その対象者にとって「毒」以外の何物でもないと私は思います。

 

 

 

チェーン・ポイズンのネタバレ解説

 

チェーン・ポイズン感想4

 

といってもストーリーに関するネタバレではありません。

 

 

 

物語の最後、すべての真相が明らかになったあと原田が電話をかけた相手が誰なのかということについて。

 

 

 

高野章子と親しかったという,同期の竹下さんだと思われます。

 

 

 

竹下さんとは二人きりでイタリアンレストランで取材を兼ねた食事をし、ワインを一本あけ、ホテルに行っています。

 

 

そのホテルで竹下さんは原田のとは関係ないことで涙を流しています。

 

 

そのことを受けて最後の「泣いただろう?この前」というセリフにつながるのではないでしょうか?

 


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